除菌や掃除に使われるエタノールですが、ドラッグストアに行くと、無水エタノールと消毒用エタノールが並んで売られています。
価格の違いは分かるけれど、他に何が違うの?カビ退治にはどっちを使えばいいの?と思う人も多いのではないでしょうか。
同じエタノールでも、無水エタノールには除菌効果はほとんどなく、カビ退治には向いていません。
カビ退治には、消毒用エタノールの方が効果的です。
なぜ、同じエタノールでも違いがあるのか、また、簡単にカビを退治する方法を見ていきたいと思います。
エタノールとは
エタノールは、でんぷんや糖の発酵によってできるアルコールで、エチルアルコールとも呼ばれています。
アルコール飲料に含まれるアルコールはエタノールです。
飲料用以外にも、消毒剤や食品添加物などにも使われていますが、最近では、自動車の燃料として注目が集まっています。
エタノールはアルコール濃度によって3種類に分類されます。
- 無水エタノール 99.5vol%
- エタノール95~96vol%
- 消毒用エタノール76.9~81.4vol%
中でも、無水エタノールは、その洗浄力の高さから、家庭の掃除用として人気が出ています。
無水エタノールと消毒用エタノールの違い
上記のように、無水エタノールと消毒用エタノールの最大の違いはアルコール濃度が違うことです。
「アルコールの濃度が違うだけなら、どっちを使っても効果はそんなに変わらないんじゃない?」
「濃度が高い方が殺菌能力も高そう」
と思われがちですが、実は、無水エタノールには殺菌能力がほとんどありません。
無水エタノールには、ほとんど水分が含まれていないため、消毒しようとしても効果を発揮する前に揮発してしまいます。
そのため、適度な水分を含んだ消毒用エタノールが作られています。
消毒・殺菌に最も効果がある「エタノール濃度80%」前述したように、消毒用アルコールはだいたいこの数字に近い値ですね。
エタノールがしみ込んでいく速度と蒸発する時間のバランスが丁度良く、最短で消毒・除菌できます。
消毒用には適していない無水エタノールですが、洗浄力が高く油汚れやこびりついた汚れを落とす際には効果を発揮します。
また、水分をほとんど含まないため、電化製品やパソコンなど水気を嫌うものの掃除にも使用できます。
ただし、濃度が高い無水エタノールは、消毒用エタノールと比べると、刺激性や揮発性が高いという欠点があります。
肌につくと、水分をうばわれ、皮膚がカサカサになったり、大量に使うと目に刺激があることもあります。
価格も無水エタノールの方が高くなります。
無水エタノールと消毒用エタノール 代用は可能?
両方揃えるのはもったいない、どちらか一方で代用できないの?と思う人もいますよね。
無水エタノールは、薄めて消毒用エタノールを作ることができます。
無水エタノールと精製水を4:1で配合すれば、簡単に消毒用エタノールができます。
掃除用として使う場合は、精製水ではなく水道水でも全く問題ありません。
ただし、長期保存はできませんので、使う分だけ作るようにしましょう。
一方、消毒用エタノールは、無水エタノールに比べると洗浄力は落ちますが、汚れ落としとして使うこともできます。
しかし、水気に弱い電化製品やパソコンの掃除には使用できません。
無水エタノールが1本あれば、少し手間はかかりますが、薄めて消毒用にもできるので便利ですね。
カビの除去にはどっちがおすすめ
既にお分かりとは思いますが、カビの除去には、消毒用エタノールを使用してください。
使用方法は、至って簡単。
- ティッシュでカビを拭き取る
- カビの生えた場所に消毒用エタノールをたっぷりスプレーする
- 乾燥したら乾いた布で拭き取る
この3ステップで除菌できます。
ただし、エタノールには漂白作用がないので、カビの色素まで取り除くことはできません。
その場合は、塩素系漂白剤を使用してください。
エタノールを使った後に漂白剤を使う場合は、エタノールが完全に乾いてから使用して下さい。
また、エタノールは、ニス塗装された家具、ワックス仕上げのフローリング、革製品、スチロール製品には使用できません。
色落ちしたり、コーティングがはがれたりすることがあります。
使用するときの注意点
引火性が強い
アルコールが主成分のエタノールは、引火性があります。
火のそばに置いたり、火の近くで使ったりすることは危険ですのでやめてください。
また、閉め切った状態で使用すると、揮発したエタノールが室内に充満します。
タバコや電化製品のスイッチなどで引火する恐れがあるので注意してください、
揮発性が高い
エタノールは、揮発性が高いため、密閉容器に入れないと揮発してしまいます。
残ったエタノールは、密閉して、冷暗所に保管するようにしてください。
一度開けたエタノールは、できるだけ早く使いきるようにしましょう。
また、部屋を閉め切った状態で使用すると、アルコールに弱い人は気分が悪くなることがありますので、換気しながら作業してください
漂白作用は無い
エタノールには、除菌効果はありますが、漂白作用はありません。
カビ菌を殺菌することはできても、カビの痕まで取り除くことはできません。
毎日使うと手荒れの原因になることがある
無水エタノールほどではありませんが、使用頻度が高いと消毒用エタノールでも手荒れの原因になります。
使用時には、ゴム手袋を着用してください。
消毒用エタノールにも種類がある?
実は、消毒用エタノールにも種類があります。
「消毒用エタノール」という表示のものと、その後ろに「IP」「IPA」「IK」などのアルファベットが書かれているものです。
価格もほぼ半額くらい、何が違うのか気になりますね。
後ろにアルファベットが記載されている消毒用エタノールは、イソプロパノールという添加物が含まれています。
どれも殺菌効果は同じですが、食品に使えるか使えないかの違いがあります。
エタノールを水で薄めただけの「消毒用エタノール」は、食品に使用しても問題ありません。
しかし、イソプロパノールには毒性があるため、口にするものには使用できません。
「消毒用エタノールIP、IPA、IK」の方が、肌荒れがひどくなる可能性があります。
また、消毒用エタノールは第一級アルコールに分類されるため酒税がかかりますが、イソプロパノールは第二級アルコールに分類されるため酒税がかかりません。
そのため、価格もかなり違っているのです。
一般の家庭では、エタノールを使って食品の消毒をすることはないと思うので、低価格の「消毒用エタノールIP、IPA、IK」でも十分ではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
カビ除菌におすすめなのは、消毒用エタノールです。
無水エタノール→掃除用
消毒用エタノール→消毒、除菌用
と使い分けてください。
もちろん、無水エタノールを薄めて代用することも可能。
無水エタノールが1本あれば、掃除用に、薄めて除菌用に大活躍しそうですね。